2003.12.30

glucose build 237

Windows用News/Weblogリーダ「glucose」のベータ版(build 237)をリリースしました.ダウンロードはこちらから.変更点は以下の通りです.
・キーワード設定によるニュースのフィルタリング [new] 取得しているすべてのニュースから,設定したキーワードを含むものを横断的に検索し,一覧表示する機能です.「ニュース」メニューより「検索」を選択するとキーワード入力ダイアログが表示されます.
・RSSの自動発見・登録 [new] 表示しているサイトにRSSが存在する場合に1クリックでglucoseへの登録を行う機能です.主要なWeblogツールで作成されたサイトに対して有効です.
・description表示モード [new] RSSを登録しているサイトにおいて,もとのページにリダイレクトするのではなく,RSSに記述されたdescription要素のみを表示するモードです.設定は「glucose設定」の「表示」でon/offが可能です.
・TypePad・ココログへの書き込み対応 [update] Movable Typeに加えてホスティングサービスのTypePad・ココログに対応しました.「glucose設定」の「My Weblog」からお使いのツールの設定を行ってください.
・その他バグフィックス [fix]
glucoseの年内最後のアップデートです.度重なる機能の追加によりメニュー構成等が多少乱雑になっていることをご了承ください.次バージョンにおいてこの問題を整理し,それをもちまして正式版(1.0)としたいと思います.それでは皆様よいお年をお迎えください.

Posted by i2k at 04:05 AM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (164)

2003.12.19

glucose: ネットランナーに掲載

少し遅くなりましたが,ネットランナー(2004年1月号,12/8発売)にglucoseが紹介されました.関係者の皆様ありがとうございます.

今回は過去最大(当プロジェクト比)のスペースを割いていただき,2ページに渡ってglucoseの設定や使用法がわかりやすくまとめられています.書店・コンビニ等で入手できますのでぜひご覧ください.

Posted by i2k at 03:52 AM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (77)

FOAFにできること,FOAFにできないこと

やっぱりたたき台としての実装があると議論する気が出てきて楽しい,ということでFOAF話をさらに進める.いきなり変な話になってしまうが,semblog.orgはFOAFの「可能性」をそんなに信じていない.自己紹介のデータは好きなだけ載せればいいけれども,他人との関係についてはある人とある人がつながってるらしい,それくらいがデータとしてわかれば十分で,それ以上の情報を込める必要はない,というかそれはやればやるほどFOAFの存在意義から離れていくような気がする.例えばぼくがAさんのFOAFデータを取り込んでfoaf:knowsに加える.そして編集機能(未実装)を使ってぼくが思うところのAさんに関する情報を書きこむ.するとどうなるか.「ぼくが思うところのAさんに関する情報」がネット上に公開される.しかもぼくのところに.果たしてそれはよいことだろうか?たまにはよいことかもしれないが,たまにはよくないことかもしれない.しかもこのやり方ではよくなかったときにAさんを救済する手段がない(システム的に,ということ).本当はいまのFOAF TrackBackすら怪しいもので,ある人に知られたくないししかもそんなこと公表されたくない,なんていう状況が仮にあるとするとなかなか大変そうだ.まあネガティブなことを言ってても仕方ないが,善意で全てうまくまわっていくという想定もできないわけで,いまのある種不自由な実装というのは実のところギリギリの線ではないかなあと思っている.もちろんこのあたりは多くの人の意見を聞かないといけないところです.

もうひとつ,上の話と同じなのか同じでないのかよくわからないが,人間関係ネットワーク(いまならSocial Networkingと呼ぶべきか)の研究をやったりツールを作っていると,よく「人間関係にはいろんな種類があるのだから,それを表現してほしい」と言われる.人間関係にはいろんな種類があるのはごもっとも.ぼくも人生を歩んでいくうえではいろいろと苦労してますが:-),そのいろんな種類はシステムとして本当に区別しておく必要があるのかなあというのが疑問.自分とつながっている人のリストはあったほうがいいけれども,その人たちとの関係の内容(とその複雑さ)は本人が一番よく知っていて,かつその知識は仮に外部化・明示化されたとしても他の人からはよくわからない(どういう事情でそういうつながりがあるのか,とか).もしわかるならばそれはその人がデータを見て理解したのではなく,前から知っていたのだろう.うまく書けてないけど,要するに人間関係データを丁寧に記述してやるというのは毒にはならないにしても大した薬にもならず,しかしそのためのコストは莫大なものになる,ということ.

これはFOAFだけの話ではなくて,もっと風呂敷を広げればどこまでがコンピュータによる支援の領域で,どこからは人間のアクティビティなのか,その線を決められないにしても考えたいという話だ.究極の自動化,もしくは人に対して究極の自由度を与えるという方向性はそれとしてひとつある.けれども,ぼくとしては単目的ではなく多目的のバランスをどううまく取っていくかに興味があって,semblog.orgが出しているツールでもそのあたりのチューニングに一番時間をかけているつもり.実のところそういう態度は全く研究者に向いてないような気がしていて困っているのだが,それはともかく多くの人に「良い塩梅」だと言っていただければ成功だし,過剰だとか過小だとか言われれば反省します.まあRNAについてはオープンソースなのでこれをベースにいろんな実装を作っていただければ最高ですが...

あとは関係ない話として,世間のFOAF使いには人間関係を眺めて楽しみたい人が多いのか,もしくはスパム防止みたいに実利を求めたい人が多いのか,どうなんでしょうか.潜在的ユーザが急増しているいま,プロジェクトのMLだけを追いかけても全然わからないので.それもまたバランスの取り方に大きな影響を与えるはず.

Posted by i2k at 03:11 AM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (83)

2003.12.17

FOAF共生プラットフォーム(試案)

先日の予告から少しばかり改題して,FOAFの話をしてみる.RNA1.8にようやくFOAFのマネジメント機能がついた.つけたばっかりということで,メタデータとして甘いところが多々あるのは承知していて,これは議論しながら改善していく所存.というかこっそりつけたFOAF機能が予想以上にメタデータコミュニティの人々に注目されていることに驚いています.

で,そのFOAF.最初にその存在を知ったのは昨年のいつぞやの IBM developerWorks で,こんなものにまでメタデータがあるのかと半ばあきれた覚えがある.プロジェクトのページにもRDFの Vaporware だ,みたいなことが書いてあってまあそうやろうなあと思っていた.思いつつ,hamasaki氏は授業のレポート兼お遊びでFOAFを使ったACSH(ACknowledgement Shake Hands:握手)システムなるものを実装していた.さて,いまやFOAFは成長を遂げ,過日のTBLの講演ではセマンティックWebのアクティビティの中でも特にFOAFに注目しているとまで言わしめたらしい.関連アプリケーションも続々と登場している.が,根本的によくわからないのは,FOAFの何が人々を引きつけているのかということだ.

FOAFはただのデータフォーマットだ.書けるのは自己紹介みたいなことと,「私は誰それを知っている」ということだけ.いまさら自己を晒してそんなに楽しいか?というのは彼の国でのWeblog革命(荒く言えば,ネット上にプライベートな情報が存在していなかったのが存在するようになった,読んでみるとおもしろかった,革命!)と同じ話であろう.しかしまあFOAFは文法的に難解で,あまり手書きしたい類のものではない.そのために簡易生成ツールがあるわけだが,それらにはFOAFがただの自己紹介ファイルで終わらない唯一最大の理由である「私は誰それを知っている」情報を記述するための支援が含まれていない.そんな片手落ちの状況でFOAFが流行している(らしい),それが全く理解できない.

もちろんその片手落ち状況が改善されればFOAFは流行るに違いない,とまでは思わないが,当座の問題を解消すべく提案されたのがACSH,のちのFOAF TrackBackである.使い方は本当は自分で書くべきなのだけれどもあまりに的確にまとまっている こちら を参照してください(おのひろきさんすみません).ACSHという名前をやめたのには理由があって,語呂とコンセプトは大変いいのだけれども,FOAFでさえ何それ?という人がいる時に「FOAFのACSH」といっても誰にもわからないので,辛うじて概念が類似しているであろうTrackBackという言葉を導入した.ただし本家TrackBackは自動逆リンクシステムだがFOAF TrackBackは半自動(やや手動,ユーザの許可がないとリンクを張り返さない)である.人の場合は一方が友達だと思っていても他方はそう思っていない可能性があるので,というのは意地の悪い見方だがその方がリアルだろう.FOAF TrackBackを利用するにはRDFのファイルだけでは足りず,どうしてもCGIが必要になってしまうのが問題といえば問題.しかもいまはRNAにビルトインされている(戦略的に).今後はこの仕組みを規格化していろいろなツールから呼べるようにしたいとは思っている.

最初にも書いたけれど,RNA/FOAFにそれなりの反応があった(いいか悪いかは別として)ということは,この手の仕組みがこれまでに存在しなかったことを意味するのかなあ.FOAF世界を知り尽くしているわけではないので断言はできないけど.それはともかくFOAF TrackBackの普及を手伝っていただける方を募集中です.実装面でもマーケティング面でも.サービス(ホスティング)化とか...実はsemblog.orgでは,こういった活動をするための拠点として"foaf.jp"なるドメインを取得していたりします.前回のCommunity Webの話を含めて,FOAFをセマンティックWebのキラープラットフォームにすべく立ち回るのが2004年のミッションになるかなあと.

Posted by i2k at 04:00 AM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (170)

2003.12.15

「そろそろsemblogからsemanticの看板をはずさないといけないかなあ」について

やっと予告通りのエントリーを書き始めます.まずはこの話から.semblogという名前はsemantic weblogの略という意味でつけたので,このプロジェクトはさぞかしセマンティックWebにコミットしているのだろうと思いきや,ご存じの通り全くそんなことはない.いまやっていることはRSS等のメタデータをうまく使いたいという話ではあるけれども,RSS=セマンティックではない,ということは多くの人々から指摘されている.セマンティックWebの学会に出てみると,昔は違ったかもしれないがいまではオントロジー(うまく説明できないけど言葉と言葉の関係を厳密に定義した辞書のようなもの)を使わないとセマンティックの中に入れてもらえない感じがする.そのような状況の中で,semblogとセマンティックWebとの関連はあるのかないのかはっきりせよ,ないとすればミスリーディングではないかという話が出てきている.個人的には役に立って面白いツールができればそれでいいやん,と思わなくもないけれど,semblog.orgとしての立場を明確にしておく必要はあるだろう.

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Posted by i2k at 03:59 AM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (145)

2003.12.04

RNA 1.8 (build 1204)

RSSベースのアンテナならびにFOAFのマネジメント環境を統合した「RNA」の正式版(Version 1.8 build 1204)をリリースしました.RNAはサーバ上で動作させるCGIスクリプトです.ダウンロードは こちら からお願いします.サンプルは こちら です.変更点は以下の通りです.
・FOAFマネジメント環境 [new] 人間関係を記述するためのメタデータフォーマットであるFOAF(Friend Of A Friend)のマネジメント環境を実装しました.具体的にはフォームによる自分用のFOAFファイルの生成サポート(FOAF-o-matic相当),およびFOAF TrackBackシステムによるユーザ間の相互リンクサポートが含まれています.
・RNA Allianceの機能追加 [update] FOAFリンクを用いた複数のRNA間の連携システム「RNA Alliance」に,他のRNAからのサイト推薦機能を追加しました.
・サイトチェックの高速化・負荷軽減 [fix] If-Modified-Sinceを利用し,更新されていないページの取得をスキップします.これにより,RNAのユーザに対しては更新処理の高速化,チェック対象のサイトに対しては負荷の軽減を図ります.
・認証範囲の拡大およびglucoseとの連携 [update] Cookieを用いたRNA認証をクリップ機能に対して付与することができるようになりました.また,XML-RPCインターフェイスを用意し,glucoseからのクリップを認証つきで行うことができます.
・テンプレート・スタイルシートの適用範囲の拡大 [update] カスタマイズ性を高めるため,テンプレートで制御できるページの数を増やしました.これに伴い,Movable Typeのスタイルシートとの親和性を高めた新しいデザインを採用しました.
・その他のバグフィックス [fix]
詳しいインストール方法・使用方法については semblog wiki をご覧ください.

Posted by i2k at 06:15 PM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (68)

2003.12.03

Weblogと有料ホスティングの関係

また来週,とか書いておきながら全然着手できてない.すみません.ここ数日ホスティングサービスとしてのWeblogのことを考えている.まずは TypePad に申し込んでみた.せっかくなので一番高いProにする.これだとMT相当の機能は全部使えて複数のWeblogを立てられる.値段は年間で$130程度.悪くない.もう1つは12/2から始まった@niftyの ココログ .TypePadベースでしかも日本語化がちゃんとなされているので機能的には類似サービスより頭ひとつ抜けていると思われる(ただしさすがに複数Weblogは無理).事前の噂では無料のコンテンツ会員になれば使えるとされていたのだが,実際は月額950円以上のプロバイダ契約を結ぶ必要があるので年換算だと1万を超える.クオリティを考えればそんなに高くないとは思う(ダイアルアップアカウントとしても使えるし,当然).が,しかし.Weblogと有料ホスティングはあまり相性がよろしくなさそうな気がする.いったん始めるとやめようがないのだ.問題はそのデータ形式にある.これまでのWebスペースの貸し出しの場合にはFTPだの何だので完全にバックアップが取れるし新たにスペースを移行してもURIの周知が面倒な以外にはデメリットはない.一方で有料Weblogの場合,飽きてきたりお金が続かなくなった場合にデータを存続させる術がない.Weblogツールは足回りのDB等がよくできているが故に互換性には期待できないし,そもそもDBから生データを取り出す手段など提供されないだろう(まさかダンプする?).TypePad/MTの例に限れば静的なHTMLを生成するのでそれを集めておくことはできるかもしれないが,それとて完全なデータではない(エクスポートという手段もあったなあ,でも問題は同じ).そんなわけで,個人ごとのコンテンツアーカイブとして永続的にネットに載せておく手段として,有料Weblogホスティングというのはなかなかつらい.もちろんプロバイダー側としてはずっと契約を続けてもらえばいいのだけれども,個人のコンテンツを知ってか知らずか人質に取ってしまうのは好ましいことではない.うちのところでも実験を兼ねて日記をTypePadベースに移行するつもりだったのだが,この問題について有効な解決策が見いだせていないので当面は延期することにした.システムとしてはMTよりもさらに優秀っぽいし,ぜひ使いたいんやけどなあ...いい方法があったら教えてください.

Posted by i2k at 02:26 AM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (160)

2003.12.01

glucose build 229

Windows用News/Weblogリーダ「glucose」のベータ版(build 229)をリリースしました.ダウンロードはこちらから.変更点は以下の通りです.
・Weblogポスト機能のバグ修正 [fix] build 200においてWeblogサイトの登録ができない問題を修正しました.
・チェック先サイトの更新確認回数を軽減 [fix] If-Modified-Sinceを利用して各ページのGET回数を減らしました.
・RNAとの連携 [update] クリップ機能等についてRNA側の認証に対応しました.RNA1.8以降(近日公開)が必要です.
・その他のバグ修正およびインターフェイスの洗練 [fix]
glucoseに関する詳細な情報はsemblog wikiglucoseのサイト にて公開しておりますのでそちらを参照してください.

Posted by i2k at 10:12 PM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (159)

ZDNet Newsに掲載

ZDNet Japan Newsの 「進化するブログとその周辺 第2回 RSSリーダー総まくり——国産ツール編」にてglucoseが紹介されました.前回の海外製ツールを含め,フリーで配布されているものの中では比較的高い評価をいただいています.関係者のみなさまにお礼申し上げます.

Posted by i2k at 09:59 PM | Permalink | Comments (0) | TrackBack (82)